*R18
18歳未満は逃げてください。 人名表記です。
露骨な表現避けてるだけでやってる感じで。微妙に史実臭いシリアスのはずが、兄さんが騒がしくてシリアスになってない。
R18のくせに、色気無くてすみません。(土下座)
共依存
夜半過ぎ。一人で寝ていたはずのギルベルトは傍らに人肌の温もりを感じて目を開いた。
「ルッツ…?」
「ん」
「どうした?」
「どうもしない」
問いかければ返事がすぐに返って来る。寝ていないらしい。むしろ、ギルベルトの声の方が寝ぼけて掠れているくらいだ。
「どうもしない、ね…」
背後からギルベルトの腰を抱くようにして両の手を回してきている。体は密着状態。
こういう行動に出るときのルートヴィッヒは大概が精神的に追いつめられている時だ、と眠い頭で考えながらギルベルトは腕を後ろへと伸ばした。わしわしと背中に張り付いて離れない弟の髪をかき混ぜる。
「どうしたルーディ?」
幼子に言い聞かせるような口調で言ってやる。その呼び方に不服そうにしている弟の雰囲気を感じ取り、ギルベルトは声無く笑った。
「どうもしないって声じゃねぇぞ?」
「兄さん…」
「どうした?」
「抱きたい」
「説明すっ飛ばして、いきなり本題に入るかよ」
「駄目か?」
「抱かれる気分じゃねぇな、今は」
というより眠いだけなのだが。
「って、おい。諦め悪いな、今日のお前は…」
ギルベルトを抱き締めていた両の手が、胸や腹をまさぐり始めている。
「駄目だってっつっても、止める気無いってか」
ギルベルトも分かっていて言っているだけだった。ルートヴィッヒのその身に纏う空気が尋常ではない。辛うじて正気を繋ぎ止めている、そんな状態だ。
「なんで、抱いてくれじゃなくて抱きたいなんだよ、今日は?」
「……」
返事は無いまま、無言でルートヴィッヒはギルベルトの首筋に噛みついた。
「痛ってぇ!」
反射でその頭を小突くが、止める気配はない。無言のままの愛撫は続く。首筋に噛みついていた唇を離せば、今度はシャツを巻くし上げて背中に口付けだか噛みつきだか分からないものを施される。そのまま、うつ伏せに押さえつけられる。
「おーい…何か言ってくれないと、さすがの俺様も泣くぞ」
妙な脅し文句を言ってみればぴくりと動きが止まった。泣くぞ、に反応したのだろうか、とギルベルトは考える。
とりあえずは、その一瞬の隙を突いて身を反転させることにした。うつ伏せられていた体を仰向けにすることで、ルートヴィッヒと真正面から見つめ合う形になる。
いつもの冴えた青が瞳に無い。嫌な具合に昏さを湛えた瞳がギルベルトを凝視していた。
その頬に手を添えてやる。完全に子供相手にするような仕草だった。それに気付いているのだろう、やはりルートヴィッヒは微かに不満そうに目を眇めた。
「ゆっくり息をしな」
「…?」
「息。はい、深呼吸!」
「…―――、」
良く出来ましたと言うように、口付けを与えてやる。僅かにだが、ルートヴィッヒの体から緊張した力が抜けた。
自分から何があったか話そうとするまでは何も聞かない方が良いのだろう、そう判断し、ギルベルトは弟の頭をその胸元に抱き寄せた。
「兄さん…」
「なんだ?」
「俺の判断は間違……」
発言の途中で内容に気付いたギルベルトは、弱音は言わせないとばかりに唇を塞いでやった。舌を捻り込み、咥内を犯す。
「…ふぅっ、あ、にい、さ…」
喋らせないように、唇を塞ぎ続ける。
やはり、良くない傾向に陥ってるなと、ギルベルトは判断を下す。
心当たりはありすぎるくらいだ。再統一から治安が悪化の一途を辿っている。急ぎすぎた再統一は東西のバランスを崩した。急ぎたくて急いだわけでは無かったが、色々な要因が重なり、結果、急がざるを得なくなった。
普通の感覚なら三年から五年、十年を掛けて、ゆっくりとバランスを計りながらすべきことを、たったの一年でやってしまったのだ。
おかしくなって当たり前だ。
しかし、おそらく、問題となっているのは、かつての独裁政権の名を声高々に名乗る者たちが台頭してきたことだろう。
以前からそのような者は存在したが、再統一を機に一気に増大した。そして、恐れていた結果を引き起こし始めた。
不況の不満を移民へと向けた者たちによる、襲撃。
つい先日も事件は起きた。巻き込まれ、その犠牲となったのは十歳の幼い少女だった。
おそらく、この件に関して吊し上げでも食らったか。
周辺諸国から、ドイツがまた惨劇を生むのかと非難されたか。
再統一は間違いだったのか。
ナチズムという思想を生み出すのは、自分なのか。『ドイツ』という存在がある限り、何度でもナチズムは甦るのではないのか。
本当に、自分の選択した道は正しかったのだろうか。
そんな思考の迷路に陥ってしまっているのだろう。
ギルベルトは、塞いでいた唇をゆっくりと離してやる。
「四十年以上も分かれていたんだ。元に戻るにも同じだけの歳月を費やすだろうよ。後悔は無い、そう言ったのはお前だぜ?」
「だが…」
「人間どもにゃ長いだろうが、俺たちにはそんな長い時間じゃねぇ。今は耐え時だ。もう少しだけ、我慢してくれルッツ」
ごめんな、と呟く。
「…?」
「俺はもう国を背負ってやれねぇ。ごめんな、ルッツ」
「…! 違っ、何を…、」
今にも泣き出しそうな子供じみた表情。若いなぁなどと思ってしまう。同じように若いアメリカは好きに暴れ回っているが、ドイツはその若い力を押さえ込む状況にある。
どこかでガス抜きをしてやらねば、またいつ爆発するか分からない。
…また?
自分の思考にギルベルトは苦笑を澪す。
ドイツの中に狂気を産み落としたのは俺だ。ドイツに責は無い。
そう口の中で呟いた。
ドイツの抱える昏い狂気。消すことの不可能なものというのならば、その狂気のすべてを俺に流し込めばいい。そのための存在だ。その為の解体指令だったはずだ。その為の選択だったはずだ。
――今はまだ、消えてやるなよ。
大戦末期、そうプロイセンに言ったのは誰だったか。寝起きな頭では思い出せそうになかった。
「お前は間違えねぇよ」
おいで、と手を差し伸べる。
その言葉に酔うように体が傾ぐ。昏い眼差しのまま、ルートヴィッヒはギルベルトの唇に噛みつくような口付けをした。
「…ってぇ! がっつくな、お前! ちょ、いきなり何本入れてんだ、おい!」
「三本」
「い、一本ずついけよな、ちくしょう。痛ぇって!」
ぎゃあぎゃあと騒ぐギルベルトを気にした風も無く、ルートヴィッヒは黙々と解す作業に没頭していた。
痛みを逸らすためか、ギルベルトはルートヴィッヒの頭を掴むと引き寄せて深い口付けを繰り返した。舌を絡め、息が上がるまで繰り返す。
しかし、ギルベルトの後孔を解そうとするルートヴィッヒの指の動きは止まらない。
「お、俺様が楽しくない!」
訴えてみるが、今のルートヴィッヒには聞き届けてもらえそうになかった。
日頃が逆の立ち位置なため、こういった行為をされるのに慣れない。いつもする方なのだ。たまに、ルートヴィッヒの状態によって入れ替わりはするが、基本は逆なのだ。
「…んぁあ!」
いきなり指を引き抜かれる。
「お、お前、優しさってものを知ってるか?」
完全に涙目でギルベルトは抗議の声を上げるが、やはり無視だった。
正気を手放す一歩手前な状態の今のルートヴィッヒに何を言ったところで無意味と分かっているが、何か言っていないと自分が居たたまれないのだ。
「あーもう。お前、先に一回イっとけ」
そう言って、曲げた膝でルートヴィッヒのものを擦りあげる。
「…! んんっ」
自分を押さえつけていた手から力が抜ける。ギルベルトは上体を起こしてそのままルートヴィッヒの股の間に顔を埋めた。口に含む前に手で擦っただけで達してくれた為に、ギルベルトは顔で白濁の液体を受け止める羽目になった。
「……」
「すまない」
ちっともすまないとは思ってなさそうな声音で謝られる。
手の中のものは、あっさり達したが、すぐにまた硬さを取り戻していた。
重傷だな、これは。
「俺様、明日は生きてねぇかも」
そんなことを呟きながら、再びルートヴィッヒのものを擦りあげ、口に含み軽く歯を当てる。何度も吸い上げる。
「はぁ、あ…、」
艶のある声が弟の口から漏れる。そして、いきなり頭を押さえつけられた。口の中どころか、喉奥まで飲み込む羽目になり、ぐほ、と咳込みそうになる。
殴り倒してやりたい衝動を押さえながら、ギルベルトは少し強めに口に含んだルートヴィッヒのものに歯を当ててやった。
「くっ…!」
しかし、ルートヴィッヒはそのまま口の中で達してくれて、今度は喉奥で白濁の液を受け止める羽目になってしまった。
「ああ…、兄さん…」
どこかぼんやりした声でそう呟く。頭を押さえ付けてくれていた手が離れた。
ギルベルトは口を離すとゲホゲホと盛大に咳込んだ。
「お前、わざとやってねぇか?」
さっきから、嫌がらせとしか思えないタイミングで出されているのだが。
「兄さん…」
そう呟く瞳の昏い色が消えない。恍惚に、しかし、凶悪に笑みを浮かべるルートヴィッヒ。
もうどうにでもなれ、とギルベルトはわざとやっていた抵抗すらも止めた。
「いっ、つぅ…、くはぁぁぁ…」
強引に押し入って来るルートヴィッヒのものを受け止めながら、ギルベルトは苦鳴を上げる。
「あ、あああ、あぐぅ…」
「兄さん…兄さん…」
「く、はぁ、あ、ああああ、」
強引に力任せに何度も何度も叩き付けられるように貫かれる。
何度もギルベルトの中で達してはすぐに堅くなるルートヴィッヒは、ずっとギルベルトの中に入ったままだった。
もう何度達っしたのか分からない状態のルートヴィッヒと、きついだけで快楽とはほど遠い為に一度も達っしていないギルベルト。
それでも、ルートヴィッヒはギルベルトの中に入りたがる。苦鳴を漏らし続けるギルベルトの声は届かないかのように。
何度も何度も繰り返した。喉が痛い。声を上げすぎて枯れたか。そんなことを頭の片隅で思った。
「うあああ? くぅぅぅ、あ、ああああ…」
ずっと入ったままだったものが、いきなり引き抜かれ、思わず嬌声が上がる。
少し落ち着いたのか、ルートヴィッヒの動きが緩慢になっていた。愛おしそうに気遣わしげにギルベルトの腹を撫でている。
「兄さん…」
そう呼ぶ声がはっきりとしていた。どうした訳だか分からないが、どうやら「戻ってきた」らしい。
それは、ギルベルトとしてはありがたい限りだ。とりあえず、一息吐ける。そして、大きく呼吸を繰り返して声を張り上げた。
「痛ってぇんだよ、てめぇは!!! 俺様が楽しくねぇんだよ!」
溜めに溜めた鬱憤をぶちまけ、思いっきり頭を叩いてやる。
「―――、」
叩かれた頭を押さえて、驚いた顔で兄を見下ろすルートヴィッヒ。
ゆっくりと兄と自分の状況を見回していた。
羞恥に顔を赤く染め、右手で顔を覆ってしまう。
「やったの覚えてねぇとか言うなよ?」
「いや、ちゃんと覚えている。意識は正常だ」
「そうかよ。なら、良いよな?」
「…? 何がだ?」
「俺様は楽しんでない!」
「あ、ああ。その、悪かった」
「だ、か、ら」
「!? …兄さん? 何を、」
「俺様も楽しませろっつってんだよ!」
言うなり、ルートヴィッヒの体を引き倒し、ベッドの上へと転がす。その上にギルベルトは跨ぐようにして乗り上げた。
いきなりの展開にルートヴィッヒは呆然と見上げてきていたが、それに対してギルベルトはにんまりと笑うことで返してやった。
何をされるのかとルートヴィッヒはびくびくしてしまう。が、そこには優しく深い口付けが落ちてきた。
自分のする粗野な乱暴なものとは違い、快楽を追うことに慣れている口付け。
「兄さんは…どこで」
「あ?」
口付けの合間に言葉を発する。
「どこで、こういう行為を、覚えた?」
「俺の年を幾つと思ってんだよ? こんだけ生きてりゃ色々あんだよ。女嫌いの王が王妃の相手しろとか言ってきたりな」
「…!」
「ん? どうした?」
なぜか固まってしまっているルートヴィッヒをギルベルトが怪訝そうに覗き込んでくる。
「その、その時は、抱いたり、したのか?」
顔を逸らし、口ごもるように言う弟の様子に笑いが込み上げてくるが、それは押さえ込む。
「さぁな。昔過ぎて、覚えてねぇ」
「……」
「不満そうだな?」
「別に不満などない」
我慢できずにギルベルトは肩を揺らしてくつくつと笑う。それから、不意に表情を引き締めた。
「お前をもっと色街とかに連れて行ってれば良かったな」
「な!? い、色街だと!? よ、よよよ余計なお世話だ!」
ルートヴィッヒの腹の上に乗ったまま、ギルベルトは顔を寄せて口付けた。
「お前が表舞台に出てきた時には、戦い続きだったからな。お前が国として一人立ちした後は立て続けに大戦だ。ゆっくり国の文化を楽しむ暇も無かったな…」
「……それは、これから楽しませてもらうから、別に良いんだ」
「そうか」
「そうだ」
「んじゃ、とりあえず、俺様の楽しみから」
「うあ!?」
ギルベルトは、ルートヴィッヒの腹の上から少しだけ下の方へと位置をずれる。そのまま、まだ硬さを保っていたルートヴィッヒのものを握りしめた。
「待っ…、兄さん…!」
「待たねぇ」
「ちょ、うあ、あああああ!」
「は、ふぅ…、あ、くぅ、あああ…」
腰を浮かし、ゆっくりと自分の中へとルートヴィッヒの立ち上がったものを沈めていくギルベルト。
「ん、…に、兄さん…! 何で…?」
「今日は、俺を抱きたいんだろ?」
自分で良いところを探り当て、そこを擦り付ける。
「あああ…、」
自分の上で楽しげに腰を揺らす兄を恍惚と見つめ、それから、ルートヴィッヒはゆっくりと手を伸ばした。
その手を取り、ギルベルトは口に含む。
「…!?」
指の一本一本を舐めていく兄に、ルートヴィッヒは呆然と見つめていた。しかし、体は正直らしく、兄の中でまた大きくなるのを意識する。
「う、」
さすがにギルベルトも苦鳴を澪す。
「お前、ほんとに元気だな。まだでかくするか」
「そ、そそそそんなこと知らん! なんで、こんな! これじゃ、俺が抱かれてるようなものじゃないか!」
「突っ込まれてるのは俺だぜ?」
「いちいち言葉にしないでくれ!」
「なんでそこで照れが入るのかが理解できねぇな。っつか、まだでかくなるんか、お前の」
いつものおちゃらけた笑い声を上げる。
ルートヴィッヒは顔を隠すように両の腕を交差させた。
「だから、なんで今更、顔を隠すまで恥ずかしがる?」
「うううううるさい」
顔を隠そうとする腕を掴み、引き寄せ、その手首、掌へと口付けを落としていく。
「兄さん…!」
腰を揺らし、煽る兄。やはり、どうにも今日は我慢が利かなかった。
「イッっていいぜ、ルーディ?」
「そんな、こと…、くぅ…!」
囁くような声に煽られたかのように、ルートヴィッヒはギルベルトの中で達っした。これでもう何度目になるかなんて分からないほどだったが、今度はギルベルトも一緒に達っしていたようで、それだけが気休めでもほっとした。
――ああ、まだ、俺は大丈夫だ。俺は、ちゃんと俺としてここにいる。決して、二度と、昏い狂気などに飲み込まれはしない。
頭の片隅でそんな取り留めも無いことを思いながら、ルートヴィッヒは、ゆっくりと体から力を抜いた。
「おーい。ルッツ? ルートヴィッヒ?」
弟を跨いだまま、兄はその頬をぺちぺちと叩いてやった。が、反応は返って来なかった。
「最後は寝落ちされるとは思ってたけどよぉ。マジで俺様一人にして先に寝るか? ルッツぅ!?」
俺まだ一回しかイってない、などと呟いても、聞き届けてくれる弟は落ち着いた寝息を立てているだけだった。
あの瞳の昏さが当分戻って来ないことを祈りつつも、ギルベルトは切ないため息を澪した。
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10.06.28
伊独普のつもりが、伊が行方不明のまま。
色気の無い色物ですみません。
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